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2011年7月27日水曜日

麻酔科専門医試験攻略法3

(続き)
では、今度はじっくりやりましょう。前のステップで残した選択肢の用語を調べ、教科書を読み、そのトピックについてまとめる…をやってしまうと、試験当日になってしまいますね。

今度は、問題のtesting pointを見抜く練習をしましょう。
前回、正解を導くための単発知識を、三段論法程度の思考経路に加工しました。
今度は他の選択肢が違う理由を考えることに視点を置くのですが
1)正解の思考経路、またはベースの知識が間違っているとその答えになるのか
2)正解の選択肢の周辺事項であるか。だとすれば「こうすれば正しい」という思考経路を、正解の思考経路から矢印を伸ばして作ります。こうすると覚えやすく芋づる式に知識が増えますね。
3)まったく1)2)と関係ない情報であれば、基本的な教科書に書いてある単発知識であるかどうか確認します。もしそうでなければ「ただのかませ犬」というか「問題を難しく見せるためだけに混ざっている選択肢」の可能性もあります。これに足を取られると絶望します。

こんな感じで、情報の優先順を見抜いていきます。試験問題を作る人の気持ちになってみれば、「まず専門医として知っていてほしい情報」と「これは間違っていてほしくない情報」を正解やひっかけ選択肢にしますね。で、残りをうめるために、「正解を導くための基礎知識で、ある一部を勘違いすればそれになるだろう答え」や「やや難しい、あるいは些細なことだけど過去問でもでてる情報」なんかで水増しするわけです。

前回同様、やりっぱなしにせずに、短時間で繰り返します。これは最初はただの暗記でも、じきに思考回路をテストの様式に合わせて「そういう発想ができるようになる」ための作業になります。手持ちの単発知識から答えをひねり出す技術といえます。

これを数年分やれば、相当目が肥えます。時間があれば「知的アプローチ」を流し読みするだけで、まだ覚えていない、テストにでそうな重要な事項が浮かび上がって見えることでしょう。

その他Tips
.XY軸のあるグラフでものを考えられるようにしてください。曲線が何かの条件で「移動する」ような頭の使い方に慣れましょう。一番簡単なテキストから図を拾い出して簡略化し、白紙に自分で描けるようにしましょう。各軸が何を示すかを忘れずに。
.単発知識は語呂合わせでもなんでも、覚えてさえいればいいのです。
.なぜか理解できない、覚えられない言葉があります。小学生になったつもりで100回発音してみましょう。


さて、長々続いた試験対策も終わりです。

お気づきと思いますが、「勉強せずにラクに通す」ためのテクではありません。あくまで「学習の順番を違えた結果、勉強の途中で絶望してやめてしまわない」ための方法です。
どうも実例のない一般論ばかりになってしまいましたが、これは間違ってこれを読んでいる医療従事者でない方からの誤解を避けるためです。ついでに、私は試験の出題委員でも何でもありません。

また、医者になるような人たちですから、すでに自分の学習法が確立している方も多く、「何をいまさら」と思われる内容かもしれません。たまに存在する「目で写真を取れて忘れない」タイプの先生方からすれば「書いてるやつ、馬鹿なの?」って感じかもしれませんね。

問題集の内容に圧倒されてちょっと我を失い、勉強方が見えなくなってしまった方が落ち着くための手順、と言ってもいいかもしれません。

NBEのPTEexamや、JB-POTについては情報も増えてきているようなので触れませんが、もし希望が多ければ。

4 件のコメント:

  1. 今月末に受験予定です。3回にわたる試験攻略法、非常に楽しく読ませていただきました。

    マニュアル世代ゆえ、先生が書いてある通り5回ほど繰り返しました。正答率70%くらいでOKなら大丈夫そうな気がしてきました。

    ところでC問題には結構な確率で不適切問題(正解が分かれそうな問題)が含まれているように感じました。恐らくA、B問題と合算で採点なので大丈夫だと思いますが、独立採点だとCで外しまくるとやばいかもです。

    お手すきのときに「専門医試験を斬る!」みたいな感じで不適切問題を解説していただけるとまたおもしろいかと思います。

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  2. 匿名さま:
    コメントありがとうございます。
    もう試験の季節なのですね。受験者の先生方が直前に体を壊されないよう、そしてピークの状態で臨めるよう願っています。

    実は試験攻略法には補足があります。
    http://masuikakeru.blogspot.com/2011/08/blog-post_20.html

    ご指摘の通り、臨床問題はどちらでも正解になりそうな…というものがあったかもしれませんね。実際そういう答えが別れてしまう問題をどう処理しているのか、私は聞いたことがないです。
    「麻酔」誌で、試験後に問題と解説なしの答えだけが載る号があったように記憶しています。それに「不適切問題として除外」なんて書いてあったかな…と思ったのですが、海外にいるため現時点で確認できないのが残念です。

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  3. ありがとうございます。おっしゃる通り、補足のように選択肢の組み合わせで消去法的に正解にたどりつくのがほとんどです。また毎年5~10問は不適切問題として採点から除外になっているようです。しかし中には明らかに解答不能かつ不適切問題にもなっていないものがあります。

    臨床問題は文字数が多いので一般問題からですが、2008年のB問題からの一例です。

    47B14
    誤っているのはどれか。
    a ブピバカインはラセミ体である。
    b ロピバカインのタンパク結合率はリドカインより低い。
    c 局所麻酔薬中毒後の心蘇生率はロピバカインがブピバカインより高い。
    d アミド型局所麻酔薬はエステル型よりアレルギー反応がまれである。
    e transient neurologic symptoms(TNS)の発生頻度はブピバカインがリドカインより高い。

    「誤りを2つ選べ」ではありません(笑)。
    これはほんの一例で他にもまだまだあります(笑)。

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  4. うーむ、難問ですね…。
    この手の出題エラーが得点に誤差範囲を作ってしまうとしても、試験中に「この問題はおかしい!」と気づけるレベルでしたら、他のちゃんとした問題の得点率で十分合格圏内に入ると思いますよ!

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